地域の皆様へ

この度、当院職員向けの新型コロナウイルスワクチン接種後の副反応疑いに関する調査結果について、以下の通り公表いたします。

ＪＡ長野厚生連　北信総合病院
　　　　統括院長　　洞　和彦
　　　　院　　長　吉田　哲矢
　　　　内科部長　千秋　智重

１.調査目的

　新型コロナウイルスワクチンの接種は新型コロナウイルス感染症を終息させる手段として不可欠で、現在国内では約8割の方が2回目の接種を終えました。一方で、新型株に対する3回目の追加接種も始まり、ワクチンの安全性に対して不安を抱く方もおられます。そのため、地域の皆様のワクチン接種を進めていく一助とするために、当院職員向けの新型コロナウイルスワクチン接種後の副反応疑いに関する調査を行いました。

２.調査方法

• 2021年12月20日～2022年2月10日までに新型コロナウイルスワクチン「コミナティ筋注（ファイザー社）」の3回目を接種した当院職員に対して、副反応疑いに関するアンケート調査を行いました。

• コミナティ副反応報告と有害事象共通用語規準（CTCAE） ver. 5.0を参考に選択肢を作成しました。

• 3回目接種後のアンケートの回収率は55.0%（512人/931人）でした。（1回目51.6％（501人/971人）、2回目51.3％（497人/969人）と比較したデータをお示しします）

• 本調査は当院倫理委員会の承認（受付番号：第2021004番）を得て実施しました。

３.調査結果

• 主な副反応の発生状況

	発現割合［%］（発現例数）
	1回目（全501例）	2回目（全497例）	3回目（全512例）
注射部位疼痛	88.6%（444例）	81.9%（407例）	95.9%（491例）
倦怠感	26.1%（131例）	68.4%（340例）	68.0%（348例）
頭痛	21.2%（106例）	53.7%（267例）	56.4%（289例）
筋肉痛	55.3%（277例）	63.8%（317例）	60.1%（308例）
悪寒	5.6%（28例）	34.8%（173例）	41.4%（212例）
関節痛	11.4%（57例）	38.0%（189例）	40.2%（206例）
発熱*	2.0%（10例）	17.0%（84例）	13.5%（69例）
搔痒症	7.0%（35例）	8.5%（42例）	10.9%（56例）
蕁麻疹	0.2%（1例）	0.2%（1例）	0.2%（1例）
多汗症	1.0%（5例）	2.2%（11例）	2.1%（11例）
湿疹	0.6%（3例）	0.6%（3例）	0.6%（3例）
顔面浮腫	0.0%（0例）	0.4%（2例）	0.8%（4例）
口腔咽頭痛	1.0%（5例）	3.6%（18例）	5.0％（26例）
浮動性めまい	3.2%（16例）	8.7%（43例）	8.0%（41例）
悪心	4.0%（20例）	13.5%（67例）	10.9%（56例）
嘔吐	0.4%（2例）	3.8%（19例）	2.0%（10例）
下痢	2.8%（14例）	4.0%（20例）	2.5%（13例）
食欲不振	3.4%（17例）	20.3%（101例）	21.1%（108例）
咳嗽	0.6%（3例）	1.6%（8例）	2.5%（13例）
呼吸困難	1.0%（5例）	2.4%（12例）	1.6%（8例）
動悸	1.2%（6例）	3.6%（18例）	2.5%（13例）
リンパ節症	0.2%（1例）	0.8%（4例）	6.4%（33例）

   * 発熱は、38.0℃以上としました。

• ワクチン接種後に副反応疑いがあったとしても、多くは数日で自然軽快しております。症状に応じて、経過観察や対症療法等で対応する必要があると考えます。

• 注射部位疼痛について、3回目は1回目・2回目以上に認めました。

• 倦怠感、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛などの多くの項目は、3回目の頻度は2回目と同程度でした。

• 接種した側の脇や首などのリンパ節が腫れるリンパ節症は、6.4%に認めました。これは免疫が反応しているためと考えられていて、自然に軽快していきます。乳がん検診がある方は、ワクチン接種前に受けることをお勧めしますが、検診後に受ける場合は、副反応の程度によっては時期を相談する必要があります。

• ワクチン接種後に受診した方は、0.6%（3例）いました。

• ショック・アナフィラキシーの発生は、当院では1・2・3回目ともにありませんでした。しかしながら、まれな頻度で発生する報告があるので、ワクチン接種会場においてもアナフィラキシー対応マニュアルを運用しております。

• 3回目接種後の翌日は仕事を休むなどで対応した例がありました。副反応の程度には個人差があることから、接種後は柔軟な対応が求められると考えます。

• 2回目と3回目の両方のアンケートに回答した363人のデータから以下のことが分かりました。

　・2回目接種時に37.0℃以上の発熱を認めず、3回目も発熱を認めなかった例は、76.2%（141例/185例）でした。

　・2回目接種時に37.0℃以上の発熱を認め、3回目も発熱を認めた例は、72.1%（124例/172例）でした。

　・2回目接種時に38.0℃以上の発熱を認め、3回目も38.0℃以上の発熱を認めた例は、43.6%（24例/55例）でした。

４.地域の皆様へ

• 新型コロナウイルスワクチンに関する疑問については、厚生労働省のホームページをご覧ください。
• 副反応が予防接種によるものと厚生労働大臣が認定したときは、予防接種法に基づく救済（医療費・障害年金等の給付）が受けられます。詳細はこちらをご覧ください。

５.研究実施体制

＜研究責任者＞

内科部長・呼吸器センター長　千秋　智重

＜研究実施者＞

薬剤部　薬剤部長　岡澤　香津子

薬剤部　薬剤部副部長　久保田　健

薬剤部　薬剤部主任　森川　剛

医療安全管理室　課長　丸山　剛正

６.お問い合わせ先

お問い合わせフォームよりお問い合わせください。