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健康へのワンポイントアドバイス

39.みなさんは夕食何時に食べていますか?

みなさんは普段何時頃から夕食を召しあがっていますか?
夏場に比べると秋冬はやや時間も早まるかと思いますが、仕事から帰ってきて食事の準備をしていると夕食が遅くなってしまう方も多いのではないでしょうか。

栄養学の一つに「時間栄養学」という分野があります。「何をどれくらい食べるか」だけでなく、「いつ、どのように食べるか」という点に着目した分野になります。生活習慣が大きく変化したことで、日本人の生活スタイルは年々夜型になってきており、夕食時間も遅くなってきているのが現状です。

「夜中の食事は太りやすい」「寝る2時間前には夕食を済ませた方が良い」など、夜遅い時間の食事は良くないと多くの方が認知していらっしゃるかと思います。では、なぜ遅い時間の食事がいけないのでしょうか?

夕食時間が遅くなると血糖値に影響する

食後の高血糖や1日の血糖変動が大きいと肥満をはじめ、酸化ストレスや血液凝固系の亢進により動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高めると言われています。朝食や昼食に比べて夕食は食事誘発性熱産生(DIT)※が50%低下するため、夜間の方が血糖値は上昇しやすいと報告されています。

ある研究では、同じ人が同じ食事を異なった時間(18時に摂取、21時に摂取、18時と21時の2回に分けて摂取)で摂取したときの血糖値の違いを見たところ、21時に摂取したグループは他のグループと比べて、食後血糖値は一番高く、夜間血糖値も高い状態が持続したと報告されています。つまり、「同じ食事でも食べる時間が3時間遅くなるだけで、食後の血糖値は大きく上昇し、夜中まで高血糖の状態が続く」ということになります。

しかし、先ほどもお話ししたように夜型の生活スタイルが定着する中、私たちは夕食の摂り方をどのように工夫したら良いのでしょうか?

先ほどの研究にありました「夕食を2回に分けて食べた」グループがカギになります。このグループの食事内容は、18時にトマトと米飯を摂取し、21時に野菜料理とメイン料理を摂取しています。このグループは、18時に食事をしたグループと同様に21時に食事をしたグループと比べて、食後血糖値の上昇幅は小さく、夜間高血糖も持続しませんでした。

夕食を2回に分けて食べる

どうしても夜遅い時間の食事になってしまう場合には、夕方職場で(できれば野菜または野菜ジュースなどを摂取してから)サンドイッチやおにぎりなど炭水化物を食べ、帰宅後の遅い時間には野菜料理とメイン料理(たんぱく質)を食べるといった方法にすることで、食後の高血糖が予防され、結果的に肥満を予防することが期待できます。ただし、メイン料理が揚げ物や中華料理のような脂っこい料理だとエネルギーの過剰摂取になりますので、注意が必要です。もちろんおにぎりやおかずの食べ過ぎも同様です。

あくまでも一つの方法ですので、参考にして頂けたらと思います。

※食事誘発性熱産生(DIT):食事をした後、安静にしていても代謝量が増大すること。

管理栄養士 中島 康一