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健康へのワンポイントアドバイス

42.脂肪肝について

 人間ドックでは、腹部超音波検査を実施しています。腹部超音波検査で「脂肪肝」を指摘されたことはありませんか?脂肪肝は自覚症状がないため、軽く思われがちですが、そのままにしておくと大きな病気につながります。

肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態が脂肪肝です。肝臓にはもともと脂肪を蓄える働きがあり、食事から得たエネルギーを中性脂肪として蓄えています。脂肪肝にはお酒の飲み過ぎによるアルコール性脂肪肝とそれ以外の非アルコール性脂肪肝があります。非アルコール性脂肪肝は最近増加してきた脂肪肝であり、メタボリックシンドロームと関係の深い脂肪肝です。

脂肪肝になる理由は、大半が生活習慣に起因しています。アルコール性脂肪肝は、お酒の多量飲酒が原因です。飲酒量には個人差があり、体質によっても異なりますが、1日に日本酒3合は多量飲酒になります。非アルコール性脂肪肝は、多量飲酒ではない場合やお酒は飲まないけれども食べ過ぎ、運動不足、肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧が影響しています。

脂肪肝が進行していくと肝臓に炎症が起こる脂肪性肝炎になることがあります。アルコール性脂肪肝でお酒の飲み過ぎが続けば、アルコール性脂肪性肝炎になります。非アルコール性脂肪肝の中では、進行して非アルコール性脂肪性肝炎になることがあります。これは「NASH(ナッシュ)」と呼ばれ、肝硬変から肝臓がんに移行することがある危険な脂肪肝です。現在、日本でも増加してきています。脂肪肝→脂肪性肝炎→肝硬変→肝臓がんに進行することがありますので、脂肪肝を予防・改善することがとても大切です。

脂肪肝の治療薬については、現在開発や研究が進められています。まずは食事療法や運動療法といった日常生活に関する取り組みを中心に治療します。お酒の影響が大きい方は禁酒や節酒をしましょう。肥満がある方は減量をすることで改善されます。食事は摂取カロリーを減らし、主食・主菜・副菜をバランスよく食べることが大切です。運動することも脂肪肝の改善に効果があります。人間ドックで脂肪肝を指摘されたことがある方は、生活習慣の見直しを行いましょう。

保健師 田中絵里